そもそもお地蔵様って?
お地蔵様の正式なお名前は、「地蔵菩薩」です。インドの古典語であるサンスクリット語でクシティ(大地)・ガルバ(胎内)と言われていたものが、意訳されて「地蔵」となりました。
交差点や路地でも見かけるお地蔵様ですが、実はとても重大な役目を背負った存在。仏教では、『お釈迦様が入滅(亡くなる事)と、現世には仏が存在しなくなった』と考えられています。次の仏となる弥勒菩薩が悟りを開くのは56億7000万年後(5億7600万年後とする説も)と言われており、地蔵菩薩はそれまでの長い期間、仏に代わって人々を救い導く役目を任されているのです。
56億年とか、時間の感覚が凄いです。仏教開創とされる紀元前5~6世紀頃からそんな時間の概念があったのでしょうね。
六体並んでいる意味は?
古くは大治4年(1129)「白河上皇(77歳)突然崩御され、その月忌の供養に等身大の六体の地蔵が建立された」と伝わります。それが様々な形で庶民信仰化したようです。現在、一般的には「死者が生まれ変わる六つの世界すべてを巡って救済を行う」と考えられています。六地蔵とは、「地蔵菩薩」が六つの世界へ赴くために姿を変えたものなのです。お墓にある六地蔵は、故人が良い世界に生まれ変わることを願って建てられています。六地蔵は死者の死後安楽を保証する地蔵として普及しました
六つの世界は「六道(ロクドウまたはリクドウ)」と呼ばれています
天道…悩みや苦労がなく、楽しいことに満ち溢れた世界。しかし、天道といえどもいつかは死がおとずれ、幸せな世界から立ち去らなければいけない悲しみや恐怖があります
人間道…人間が住む世界。苦しみもたくさんありますが、仏教を修めることで輪廻を抜けられる可能性のある唯一の世界
修羅道…戦いや争いが絶えることがない世界
畜生道…牛や馬など、弱肉強食の畜生の世界
餓鬼道…飢えと渇きに常に苦しむ世界
地獄道…六つの世界で最も過酷な世界。苦痛が絶えず続くと言われる
人は亡くなると生前の行いをもとに、どの世界に生まれ変わるか、審判を受けると言われています。『閻魔大王に裁かれる事で有名なアレです』死後の世界では10人の王がいて裁判官の様に裁かれます。針山を越え、三途の川を渡ります。川を渡ると「業のはかり」という天秤で罪の重さが裁かれます。
「十王堂」として御堂を建てる寺もありますよ。
程度の違いはありますが、どの世界も苦しみから逃れることはできません。本来、仏教の目的は、悟りを開いてこの六道の輪廻転生から抜け出すことにありました。地域によって様々なデザイン、顔立ちがあります。比べてみると楽しいです
「くり貫き型」本庄市:長松寺
「船型」
耳たぶの大きなお地蔵様もありました。「福耳」ですね
六角形の石塔、六面其々にお地蔵様が彫られていますが同じ意味です