お寺の入口でこんな石塔をみかけました「禁葷酒」
「葷?」何て読むんだろう・・・軍?軍隊のこと?
さらに別のお寺では「不許葷酒入山門」
葷そして酒?・・漢文的に考えると、「葷と酒は山門に入るな」という事ですが、、
葷=くん、と読みます。では意味は?
葷=①ネギやニラなどの香りの強い野菜、②生臭い肉・魚、の事でした、そして酒。
葷酒山門に入るを許さず=くんしゅ さんもんにはいるをゆるさず。主に禅寺の門前にある結界の一つ。「臭気の強い野菜は他人を苦しめ、自分の修行の妨げにもなる。酒は心を乱す事にもなるのでこれらを口にしたものは境内に入る事を許さない」
強烈な臭いがする野菜を食べたり、酒を飲んでいる者は境内に入ってはいけません。という強いメッセージでした。
お寺ではお酒が禁止。。ここで「ん?」と思いました。葬儀や法事の後に行われる「お斎(おとき)」の場ではお酒が出る事もありますね。そういえば、私が檀家の御住職はお酒が大好きな方です。時代と共に慣習も変わっていったのでしょう。因みにお斎と精進落としについて
お斎:語源は仏教で食べる「斎食(さいしょく)」葬儀・法事の後に行われる食事会。地域によっては葬儀の朝に故人と最後にとる食事を指すようです。御斎とも書かれます。古くは四十九日の忌明けまでは肉や魚などを使わない精進料理を食べて過ごしていました。精進落とし:精進料理から通常の食事に戻すこと。現代では葬儀や火葬の後での食事会を指します
川越市:養寿院
手水舎で手を洗ったりする事から考えると、参拝時には身を清め気持ちよく訪問したいものです。
そしてこちら。川越市:善仲寺。正面は「不許葷酒入山門」ですが
横を見ると「禁芸術売買」とあります。埼玉県内ではあまり見かけません。とても珍しいと思います。「境内で芸術品の売買は禁止」という事なのでしょうか?調べたところ、当時の「芸術」とは絵画や書、器などの芸術品を売る事ではなく大道芸や芝居などの商売目的の興行を指していたようです。
「俗な物は境内に入ってはならない」という事のようです。「俗な物」と言えば・・お寺の住職は本名を本来の読み方ではなく別の読み方をされています。俗世間と隔てた僧侶としての名前を持っているのです。
足立区:長建寺。珍しい石碑がありました。「不許酒肉五辛入門内」酒、肉はダメなのはわかりますが、五辛とは何だろう??
五辛:大蒜(おおびる:ニンニク)、茖葱(かくそう:ラッキョウ)、慈葱(じそう:ネギ)、蘭葱(らんそう:アサツキ)、興渠(こうこ:ニラ)の事でした。5世紀に仏教の戒律について説かれた「梵網菩薩戒經」の四十八軽戒の第四食五辛戒の中に「若佛子。不得食五辛。大蒜茖葱慈葱蘭葱興蕖。是五種一切食中不得食。若故食者。犯輕垢罪」とあります。
大まかには「若仏子、五辛を食することを得ざれ。大蒜(おおびる)と茖葱(かくそう)、慈葱(じそう)、蘭葱(らんそう)、興渠(こうこ)。『この五種を食事の際に食してはならない。もし食べたならば罪を犯す事になる』そんな意味のようです
主に禅宗の寺院前に設置されたようです